「沈丁花」(じんちょうげ)
沈丁花 その姿
沈丁花 その馨り
むせかえる芽吹きの訪れ
あまりに甘い そのゆえに
沈丁花 その姿
己(おのれ)が婀娜(あだ)を知り始め
忍ぶ逢瀬に未(ま)だ手も触れず
闇にも頬の紅(くれない)が
渡ってゆくかとおののく娘
沈丁花 その馨り
深い夢から浅い微睡(まどろ)み
そこから醒めてまだうつろ
その日の光一番に
のびと吸い込む少年の息
沈丁花 その淡さ
想う人(もの)さえない頃に
おまえのかおりのおとずれが
狂おしいほど切なくて
おまえに凭れて日だまりで
夜より遼(はるか)に夢を馳せ
沈丁花 その強さ
春の瞳を知っていた
若さの色を知っていた
忍ぶ逢瀬に未(ま)だ手も触れず
闇にも頬の紅(くれない)が
渡ってゆくかとおののく娘
沈丁花 その馨り
深い夢から浅い微睡(まどろ)み
そこから醒めてまだうつろ
その日の光一番に
のびと吸い込む少年の息
沈丁花 その淡さ
想う人(もの)さえない頃に
おまえのかおりのおとずれが
狂おしいほど切なくて
おまえに凭れて日だまりで
夜より遼(はるか)に夢を馳せ
沈丁花 その強さ
春の瞳を知っていた
若さの色を知っていた
沈丁花 そのあまさ
沈丁花 せつなさよ
※馨り (かおり)
※逢瀬 (おうせ)
※凭れて(もたれて)
※馳せ (はせ)
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