※スマホは横に※
私は今、ここにいて
小さな部屋の窓から
私が座っているところは
ほんのちっぽけな椅子の上で
ここから見えるあの細い道の上に私が立ったら
どこかに行くのに一歩一歩
ほんのささやかな歩幅を刻んで
この足で歩かなくてはならない、
ゆっくりと何分も、何時間もかけて
なのに
そんなちいさな
ちっぽけな私なのに
どれくらいささやかな命か
痛いほど知っているのに
なのに
この夜空の向こうまで
私の想いが届いている気が
するのはなぜ
この雲の彼方まで
私の声が響いて通って行くのを
感じるのはなぜ
私の中に
すべてのものが流れ込んでくるように
思えるのはなぜ
私のこの目ではなく
どこか 私の体の外にある
私のではない 私の目で
すべてが見える気がするのはなぜ
私の生に触れた人すべての
人生が私の中で息づき
悲しみも苦しみもぜんぶ
輝いて
まぶしく光っているのを感じるのはなぜ
生きている私がまるで知らないはずの人
知らないところで今、生きて呼吸している人
私が知らないうちに生きて死んだ人
私が死んだ後に生まれるはずの人
その人たちの生もすべて
私が知っている気がするのは
見えるのは
なぜ
そのすべてが
あるべきようになされ
あるべきように体験され
あるべきように
感じ 苦しみ 喜び 過ぎて行って
なのに今も
「私」という一部の中に
受け継がれ流れ込み体に心に
触れて 輝いて
きらきらと光るのはなぜ
今夜
自由と 歓びと
ひとりの小さな人間としての終わりと始まりと
言葉にならない深奥からの真実とが
防ぎようもなく私の中に流れ込んで
どうしようもなく 私が
泣いているのは
なぜ
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